2016年05月26日(木)
炭そ病と潅水 [寒蘭の勧め(旧)]
炭そ病については何度も紹介しているので今更と言う感じだが、まだ十分理解されていない方も多いと思うので・・・
炭そ病の発生には潅水の仕方が大きく影響する。
潅水後気を付けて見ると葉先や袴に水がたまっていることが良くある。
その場所で何が起こっているだろうか?
画像は炭そ病で出来た黒点(分生子層)から胞子(分生子)が一斉に吹き出してきたところだ。
左側の大きな黒い塊が分生子層で右の小さな楕円形の細胞が分生子だ。
炭そ病の胞子は濡れ状態が長時間無いと病原性を持たない。
潅水してもすぐに乾いてしまうと黒点(分生子層)から胞子(分生子)が出てこない。炭そ病の感染はこの胞子が回りに拡散することで起こっている。濡れ状態が6時間を超える当たりから急激に炭そ病の感染と発病は多くなるのだ。
もちろん濡れ状態になる場所が炭そ病に感染していないと大丈夫だが、何度薬剤防除してもそんな場所には少なからず菌は存在している。
枯れた葉や袴の裏を見るとコショウを振ったような小黒点がびっしりと付いていることがある。その黒点の一つ一つが炭そ病の分生子層なのだ。
潅水後のタイムリミットが6時間。天候や時間帯によって濡れ状態が解消するのに大きな差が出てくる。この時期それを考えたて潅水しなければならないのだ。もちろん1時間以内に解消するのが理想だが、実際は難しい。
潅水後の送風や綿棒使用でしっかりと余水を取り除いている人もいる。私はそこまで出来ないので薬剤散布も頻繁にしている。
雨天時の潅水や夜間潅水を止めるだけでも発生を少なく出来ると思う。
なお、日中の潅水を嫌がる人もいるが、日中潅水がダメだという根拠は何処にもない。
Posted by woods at 2016年05月26日(木) 13時59分 トラックバック ( 0 ) コメント ( 10 )
コメント
ainoさん
寒蘭は株分けしたとき新旧がバルブの一点で繋がっていますが、炭そ病の糸状菌は古いバルブから新しいバルブにはこの接合部を通じては簡単には感染しないようです。
炭そ病が新芽に感染するのは葉先や袴上に発生した菌糸が胞子を作ることで拡散し、新芽が幼弱なときや葉の傷や根の肥料痛みカ所などへ移行することで感染しています。また新芽が大きくなると新芽の袴が割れてきますがそこからも感染しやすくなります。どちらにせよ新芽は農薬散布で感染予防が可能です。それが不可能であれば一度感染した寒蘭は株を割っても両方枯死してしまうと言うことになります。腐敗病のフザリウム菌は古いバルブから新しいバルブに移行しますので防除が不可能で株分けしてもたいてい両方枯死してしまいます。
いつもいつも貴重な情報をありがとうございます。
10年以上も夜間潅水を続けていました。
目から鱗でした。
これからも貴重な情報を可能な範囲でご教授ください。
もう一つお聞きしますが炭疽病に罹患している株は割っても、割った両方が罹患しているのですよね?
ainoさん
炭そ病の予防は他の病気の予防にもなります。夜間潅水から早朝潅水へ代えるだけでもズボ抜けは減ると思います。
炭そ病はいったん体内に入ってしまうと農薬では治癒しないですね。ほとんどの病気がそうです。葉先や袴の表面にある内は農薬は効きますので散布回数を多くして予防するしかありません。病気になった葉先や袴を切り取ってしまうのも予防方法です。
袴が枯れ上がって酷いのは隔離した方が良いです。潅水の飛沫で胞子が飛散されます。水やりを丁寧にやる方は心配することはないかもしれません。
katsuyaさん
ありがとうございます。
サイトのお客さんへは出来るだけ技術的な対応をしたいと思っています。問題はブログですので私のやっていることがライバルにも筒抜けになることですね。
私は埼玉県の県北で日本一暑い町に住んでいます。
夏場は少しでも気温の下がる夜遅くに潅水をしていました。
朝の10時頃には30度を超えてきますのでズボ抜けなどが怖いために夜間に潅水していましたが、間違いだったのですね。
早朝の早い方に切り替えてみます。
袴の裏の小黒点の株は見つけたら隔離した方が安全ですよね。炭疽病は薬で治癒するのでしょうか?
理由や根拠が解説されているので栽培している方には非常にありがたい情報源だと思います。苦労されて調べた事を惜しげもなくアップして下さることに感謝しかありません。
katsuya様
私のブログは「寒蘭の栽培は難しく考えないで良い」と言うことを難しく書いていますね(^_^)。
基本的な環境を整備すれば寒蘭は他の植物と何ら変わりなく栽培できます。また栽培としては易しい方だと思います。
私の回りでは間違った考え方をしている人が多すぎます。
おはようございます。2年程前までは熱帯魚のレッドビーシュリンプというエビにはまって飼っていましたが、家庭の事情でやめました。その後何かやりたいなと思っていたときに、子供の頃取りに行っていたランを思い出しネットで調べてみると、当サイトに出会いました。最初見たときは難しい事を書いているなという印象でしたが、見ていくうちに自分もやってみたくなり現在に至ります。なので私の蘭栽培は全て当サイトから引用したものになっています。※出来る範囲ですが(笑)
いつもコメントありがとうございます。
こちらの意図が伝わっているとうれしいですね。コメントがないとこんなこと書いてもと思って落ち込んでしまいます。
なんでも工夫次第だと思います。それが寒蘭作りの面白さです。
これからの権水は温度や湿度が高いので炭そ病にかかりやすいと自分で認識しています。なので冬季以外が基本的に早朝やるようにしています。また天気の悪い日は避けるなどして葉上からよりも下の方を意識しています。残念ながら蘭舎には電気がとおっていないので扇風機の使用が出来ません。
病気で枯らすことはなるだけしたくないので当サイトがあって本当に良かったと思います。
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