new Woodynote

    Woods@管理人のブログです。

2

2016


  1 2 3 4 5 6
7 8 9 10 11 12 13
14 15 16 17 18 19 20
21 22 23 24 25 26 27
28 29          

検索


カテゴリーリスト

2016年02月11日(木)

阻害要因3 低温と高温2 [寒蘭の勧め(旧)]

凍害は根に障害が現れるが、根が凍ってしまい溶けてもすぐには解らない。2,3ヶ月後に植え替える時にすべての根がズタズタになってしまっていて凍害があったと解る。

また、それとは違って春には問題ないが秋になって同様の状態になっていることがある。なぜこんなになっているのだと不思議でしかたないときがある。

今のところ想像でしかないが、これは寒蘭の根は凍結被害を受けなくても蘭菌が寒でやられた結果、蘭菌の皮層内ネットワーク(菌糸が細胞壁に穴を空けてペロトンを連結している)に他の雑菌が侵入し根細胞を腐敗させてしまうためでなはないだろうか。夏場の高温で蘭菌が死滅しても同様の結果だろう。

蘭菌の説明はブログのどこかでしていたと思うが見当たらない。
蘭菌は通称で、蘭の根と共生するものはラン菌根菌(担子菌であることが確認されている)と言う。
ラン菌根菌といっても寄主それぞれに(ランの種類ごとに)固有の蘭菌があるようだ。例えば春蘭は椎茸菌、ナギランはシメジ菌、寒蘭は松茸菌とかだ。ただ詳しく調べられていない。またフウランの蘭菌は日本に自生している物と南米に自生している物とでも同じ種類のようだ。

ただ椎茸にも歪で肉薄のものから丸くて肉厚の物まであるように変種が様々有る。寒蘭の蘭菌も産地により坪によりいくらかは変異していると考えられる。そのため蘭菌の性質によって蘭の生育も影響されていると思われる。実際栽培しているとある坪の物は生育がすこぶる良いがあるところのものはいくら採ってきてもどれも良く育たないと言うことがある。

これが蘭栽培を難しくしているのではないだろうか。例えば「払い越し産の蘭菌は暑さに弱など」のように同じように栽培していてもその産地の蘭だけが根が悪くなると言うことが考えられるのだ。

Posted by woods at 2016年02月11日(木) 06時33分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2016年02月10日(水)

阻害要因3 低温と高温 [寒蘭の勧め(旧)]

蘭菌をメインに考えるとやはり温度は大事だろう。蘭菌の生育適温は20℃〜27,8℃くらいだと思われるが、これから大きく逸脱すると蘭菌は生育できなくなる。鉢内温度をこの範囲にいかに長くおくことが出来るかが蘭の生育を左右する。

寒蘭の自生地では蘭菌が生育する地面の中(地下10センチほど)は冬場気温が氷点下になっても5℃以上あり(平均的には10℃くらいある)夏場気温が30度を超えても25℃以下に保たれている。
降雪後に蘭採りに出かけてみると蘭が生えているところだけ雪は積もっていないかすでに溶けている場合が多い。地面が凍るようなところには蘭は生えない。おそらく蘭菌は低温には相当弱いのだろう。
また、寒蘭幼木の出芽は春先に出てくる他の草木より大きく遅れ初夏になってしまうが、これは蘭菌の生育適温が比較的高いことを示している。

寒蘭自体の温度耐性は低温側でおそらく−3,4℃程度で高温側は湿度が確保できれば40℃を超えても耐えられる。
しかし蘭菌は5℃以下では生育できないし氷点下になると死滅してしまうのではないだろうか。高温も30℃を超えてくると全く活動できないと思う。

糸状菌の温度耐性を調べていたらネット上に面白いページを見つけた。文部科学省のカビ対策マニュアルのカビの記述だ。

「自分は蘭菌は関係ない」と思っている方も多いと思うが、良くも悪くも寒蘭は蘭菌と切っても切れない関係がある。

一般に共生関係と言っているが、実際は蘭菌は炭素病菌のような病原菌と同様に寒蘭を餌として寄生している(下手したら寒蘭は蘭菌に食べ尽くされる運命にあるかもしれない)。それを寒蘭が利用しているに過ぎない。もちろん蘭菌が無くても蘭は育つ。無菌状態で栽培されて証明されている。

一方、蘭菌は居ないと考えられる人工交配の瓶苗も蘭舎で育てていると蘭菌を持っている。もちろん無菌発芽なので瓶から出すまでは蘭菌は居ない。自分は何本か瓶苗を育てていてその根を検鏡し、蘭菌は居ないと思っていたがすべての株にラン菌根菌を発見した。瓶苗生産者がどこかで蘭菌を接種したかと尋ねてみても誰もそんなことはしていなかった。
無菌の苗も蘭舎で自然に蘭菌に感染するのだ。

Posted by woods at 2016年02月10日(水) 22時58分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2016年02月07日(日)

阻害要因2 消毒 [寒蘭の勧め(旧)]

私は寒蘭の生育を一番悪くしているものは過剰施肥だと思っているが、植え替え時の根の消毒や用土への農薬潅注も土壌の生物性を損なわせて生育を悪くさせていると思う。

下の表は平成27年の農薬散布及び施肥実績だ。
ここ何年かは蘭菌のことを考えて土壌の消毒はしていない。植え付け時だけ最低限としてタチガレエース液剤1000倍液を潅注している。

画像(360x170)・拡大画像(1323x626)

古いデータは整理できていないので平成23年になるが下表が以前の実績だ。
以前は植付け時にはタチガレエース液剤のみならずアミスター20フロアブルも潅注していた。また年間2,3回全鉢への潅注もしていた。23年はタチガレエース液剤のゲッター水和剤混合が1回と単用が1回だけだが、年によりアミスター20フロアブルやベンレートT水和剤、さらに古くはダコニールなども潅注していた。

画像(360x183)・拡大画像(1253x639)

平成24〜26年の実績はこちら


農薬の使用はもちろん病気の発生予防だ。薬剤の用土への潅注はかつてやっかいな炭疽病や腐敗病が蔓延したため農薬散布で防除に努めた結果だが、今思えば蘭菌に大きなダメージを与えていたと思う。

現在の農薬では根組織内へ農薬成分が浸透して糸状菌を完全にやっつけるほど効果の高いものはなく腐敗病のフザリウム菌や炭素病菌が組織内に侵入してしまえば防除はお手上げ状態となる。

その点から農薬を潅注しても蘭菌を根こそぎ殺してしまうことにはならないが根組織の外部に伸びている菌糸は相当のダメージを受ける。しかしながらラン菌根菌は外部菌糸がやられても細胞内にペロトンが残っていれば菌糸を再生することができる。
参照:細胞内の菌糸細胞外の菌糸





Posted by woods at 2016年02月07日(日) 18時44分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2016年02月06日(土)

阻害要因1 施肥3 [寒蘭の勧め(旧)]

前回の記事は何を言いたいかよくわからなかったと思うが・・・
(一般土壌の考えでは寒蘭の説明は出来ないかもしれない。)

寒蘭では一般の作物と比べると土の粒子が大きすぎる。気相率が20〜30%以上となる粒径は赤玉土では直径2mm以上、鹿沼土やさつま土では1mm以上である。意外と小粒でも理想的な三相構造の気相率25〜35%となる。

これから見ると実際に使用している用土は必要以上に気相率が高くなっていると考えられる。当然だが微塵(直径1mm以下のもの)を除去すると固相率は低下して気相率は著しく増加する。

大粒化して気相率が高くなり固相率が減ると保水性が悪くなる。保水性が悪いと肥料の濃度障害を受けやすくなる。

私が言いたいのは濃度障害を起こさないように施肥管理しないといけないと言うことだ。

濃度障害→細胞破壊→雑菌の侵入→生物性阻害
施肥が限度を超えることによる外皮の損傷はそこで侵入を阻止していた病原菌や雑菌を皮層内に入れてしまうことになる。皮層細胞が破壊されてしまうと当然だが皮層内にいるラン菌根菌はダメージを受けることになる。

画像(360x239)・拡大画像(1000x664)

この表は20年以上前に作成した資料です。
今までに何度も皆さんに公開してきましたが私自身これでこの20年間施肥をしてきました。

下の説明はこの表の補足説明文(既出ですが抜粋して転記)です。


5.施肥及び用土
 施肥量は経験的な必要量を置き肥で示しましたが、農業用単位で1a(100平米)当たり窒素成分量1.0kgを一回施用量の上限としました。これを越えても寒蘭がすぐに枯れることはありませんが、2.0kg、3.0kgと施用すれば窒素等の肥料成分や塩素等の有害成分の濃度が濃くなりほとんどの寒蘭は根痛みを起こします。(肥料で根痛みを起こしている場合を計算すると、1回の施用量は上限の1.0kgを3倍も4倍も超えています。)

 施肥量を増やして根痛みさえ起こさなければ寒蘭の生育は大きく向上しますが、潅水量と土壌水分の関係で失敗する場合が多いと思い。潅水時には適度の濃度であっても寒蘭の吸水と鉢からの水分の蒸発とともに肥料濃度が濃くなり根を傷めることになります。根の外部の浸透圧が高くなることにより根の細胞内の水分が奪われ、ひどいと細胞自体が破壊されてしまいます。

 蘭の根は、鉢の偏ったカ所に肥料があり、溶け出した肥料成分がその回りだけであったとしても、近くに位置する一部の根が吸収して、その後根全体に肥料成分を行き渡らせる優秀な機能を備えています。故に鉢全体に均一に施肥する必要はなく、結果的に少量の肥料でかまわないことになります。

 この1回量1.0kgの施用量で温度管理、遮光管理、水管理をバランスよく行えば年3回程度の施用(年間3.0kg)で寒蘭は十二分な生育となります。ただし、山採り苗等旺盛に育っている場合は次の置き肥までに、液肥を潅注すると良いでしょう。肥料不足は葉枯病や炭疽病の発症要因になっています。ただし、生育の悪い物、小苗などでは1回の施用量を減して施用します。

 一般には液肥の施用も行われていますが、根痛みの原理は同じです。濃い液肥を再々施用すると置き肥を多くやったのと同じとなります。

 園芸用の液肥では、ラベルに記載されている作物の使用濃度の2〜3倍薄い濃度で使用すると良いようです。1,000倍と書いていれば2,000〜3,000倍で使用します。(ただし、寒蘭専用の液肥は最初から2,000〜3,000倍の薄い倍率を使用するよう記載しています。)

 潅水代わりに液肥を施用することがありますが、寒蘭用の用土は全体的に保肥力が高いものです。何回も施用すると、どうしても肥料濃度は濃くなっていきます。潅水は潅水、施肥はたとえ薄い2,000〜3,000倍の液肥であったとしても潅水とは別に行うべきです。

 一般の作物と比べると寒蘭の施肥量はかなり制限されています。寒蘭は園芸用のシンビジウムの仲間ですが、シンビジウムと比較すると、3分の1以下の耐肥性しかありません。ちなみに耐暑性も3分の1以下です。シンビジウムと同様の管理をしても施肥量は3分の1以下としなければならないです。しかも使用鉢及び用土が土壌水分を常に低くしています。また潅水回数もシンビジウムの3分の1程度です。このため肥料成分が濃くなることを勘案して寒蘭の施肥量は決めなければなりません。植え方が特殊であるために、シンビジウムの施肥量からは3分の1を更に4分の1〜5分の1程度までに少なくする必要があると思います。

Posted by woods at 2016年02月06日(土) 20時47分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2016年02月03日(水)

阻害要因1 施肥2 [寒蘭の勧め(旧)]

施肥の問題について語る前に

土壌の「三相構造」を聞いたことがあると思うが、土壌は固形物の固相、水分の液相、空気の気相の三相に区分される。それぞれの割合を示したものが三相構造だがこの三相の割合が異なると作物の生育も違ってくる。一般的な土壌は固相40%:液相30%:気相30%である。

また水の種類は性質によって3つに区分される。
重力水=土壌中を重力によって移動する水(概ね24時間で鉢底から流れ出る)
吸着水=壌の吸着力によって保持されている水
毛管水=土壌の粒子間に保持されている水
ちなみに三相構造の液相は重力水を除いた吸着水と毛管水を足した物になる。

未熟な土壌で固相割合が高いと保肥力や排水性が劣り作物は良く育たない。三相構造は一般には土壌が熟成するにつれて土壌が単粒構造から団粒構造と変化することによって孔隙(すき間)が増え植物に有利な構造となる。




寒蘭の土は直径2mm以上の礫が使用される単粒構造の礫耕栽培と考えられるが実際は大きな粒の表面に砂やシルトや粘土が付着したい団粒構造とも言える。このあたりは用土の作成方法で人により大きく違っている。
一般に単粒構造よりも団粒構造の方が保水性と保肥力が高い。
寒蘭の用土は一般的な団粒構造ではないにしても大きな礫を使うことで擬似的に団粒構造にしてきたのだろう。
先人が創意工夫してこういう形になっていると思うが、土壌としては基本的にはシルトや粘土の存在が重要で見た目だけ団粒構造にしても意味が無い。

土壌水分には毛管水があり水分移動が上から下という移動でばかりでなく下から上または横から横へと移動している。いわゆる毛管現象だ。この毛管現象により根に水が長期にわたり供給される。またこの水の流れにより肥料成分も移動する。

土壌はシルトや粘土が存在することにより毛管水が多くなり毛管現象も活発となる。


注)粘土(粒径が1/256mm以下)より粒が大きく粗いもの(粒径1/16mm〜1/256mm)をシルトと言う。

私の用土作成については今までに何度も紹介した
この中で多くの方に興味を持って見て頂いたがほとんどが個別の土を何を使っているかにとどまったと思う。
私の意図としては作成過程・作成方法・粒の大きさ等見て欲しかった。

上にリンクしたYouTubeの動画でもダケ土作成も篩でふるうものの微塵(シルトや粘土)は出来るだけ残している。市販土は袋から出してそのまま混ぜている。最終的にはタンクに入れて散水しているが湿らしているのであって洗浄はしていない。

かつて私に土作りを教えてくれた先輩はそれぞれの土を微塵が無くなるまで何回も洗浄していた。ダケ土においては角が取れるまで洗っていた。

植え付けるまでに用土はしっかり馴染ませる。散水し後日キトサン(キトチンキ1000倍液)と微量のHB101液を潅注しているが、その効果の程は不明だが、前もって散水して土を湿らしておく効果は高い。これによって礫のまわりにシルトや粘土がしっかりと付着している。

こちらは植え付け時の動画だが前もって用意した土は5mmの篩にかけても微塵はあまり出ない。
それとさらに重要なことがある。ここ何年かは表土(0.5センチ前後)は5mmで篩った土をのせているが、以前は下から上まで同じ大きさで植えていた。

入門当初は教えられたように大中小に分けて底は大粒、中は中粒、上部は小粒で植えていたが、なぜそんな毛管現象を途中で絶つような植え方をするのかとすぐにすべて同じにした。

現在では小粒の表土を使っていることもあるが、鉢底は篩から気持ち大きめの粒をつかんで入れている。それでも8割は同じ大きさの用土だ。
これによって水回りと肥料回りが良好だ。

Posted by woods at 2016年02月03日(水) 07時11分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2016年02月02日(火)

阻害要因1 施肥 [寒蘭の勧め(旧)]

生物性の中で私が何を言いたいかは解ると思うが、いわゆる蘭菌が本当に重要な働きをしていると言うことだ。蘭菌=「ラン菌根菌」は寒蘭根組織の「皮層」の中に生育する。皮層の環境(皮層は生物性の領域になる)をいかに好環境に保ちこのラン菌根菌をうまく生育されるかが、寒蘭を上手に育てるコツになる。

立地条件や採光、水やりや施肥等の肥培管理も生物性に直結する。

既出の資料になるが
まずは寒蘭の根がどんな構造でどんな働きと特徴があるかを知っていないと前に進まない。

1.寒蘭の根の図から
IDとパスワードを求められたらそれぞれ hokanko


2.根の構造(顕微鏡写真)


この記事の下にあるが

澤先生の記述から
「カンランの根には根毛がなく(根の発生初期にはあるがまもなく消滅してしまう?)養分や水分は根被細胞を通じて吸水されている。このためハイポネックスなどの化学肥料を施す際には充分注意しなければならないことがある。それは植物体に影響がなさそうな濃度の液肥を与えたとしても、その後、鉢内が乾燥するにつれて、液肥を吸った根被細胞内での水分は内部への移行のみ行われ、それを補充すべき外からの水分の供給が少なくなり、その結果、根被細胞内の液肥の濃度が高くなり、結局、高濃度の液肥を外皮に施したと同じ状態になって濃度障害を引き起こすことになる。したがって、鉢内が乾燥しないように常に注意して管理するならば普通の草花と同程度の濃度の液肥を施してもかまわないが、それには手間がかかるし、逆に加湿になりやすい。したがってランに化学肥料を施すときは、草花などに施用するときよりも三〜五倍に薄め、そのかわりに施す回数を多くして灌水代わりにかけるようにすることである。」

この記述のように寒蘭は構造的に肥料に弱い。澤先生は土壌肥料は専門外なので液肥と限定しているが、置肥も同じだ。

液肥や置肥の施肥が限度を超えると根を傷めることになる。外皮が損傷するとそこで侵入を阻止していた病原菌や雑菌を皮層内に入れてしまうことになる。皮層細胞が破壊されてしまうと当然だが皮層内にいるラン菌根菌はダメージを受けることになる。

Posted by woods at 2016年02月02日(火) 00時00分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 3 )

2016年01月30日(土)

生物性3 [寒蘭の勧め(旧)]

植物を育てる方法は様々で土の使用を極限に減らした養液栽培から土の機能を最大に活用した有機栽培まで幅広い。
生物性から見ると養液栽培は土を使わないので限りなく0に近く有機栽培は微生物の餌が豊富なため生物性はMAXになる。

昭和の終わり頃、夢のような栽培方法として養液栽培が農業現場に出現した。多くの関係者が既存の栽培方法がこれに取って代わるだろうと思っていた時期があった。試験場やメーカーのデータ等では収量が飛躍的に増えると考えられていたからだ。
新しい農業として多くの農家が養液栽培に取り組んだ時期があったが、思ったほど収量は伸びず資材の高騰が農家を苦しめた。
試験場では比較的小さな施設で栽培するため換気や温度管理等が行き届き、小さなハウスだと光環境も良いため高収量を得ていたと思う。しかしながら現場では一定以上の規模がいるため管理が難しく特に夏場は高温になりやすく冬場は日照不足になりやすかった。
そのため目標の品質・収量に届かなかった農家が多かった。今思うに生物性を無視したような栽培方法は想定外の環境変化に対応できなくあまりにも脆いのではないだろうか。

土を使う慣行栽培では同じような施設で同じように環境不良になっても一定の収量を得ていた。
高知県ではナスやキュウリ、ミョウガやニラなどがハウスで栽培されていて私はハウスの土壌分析・診断にも関わったことがある。その中でやはり生物性を無視したような栽培をしている農家ほど悪環境に苦戦していた。化学肥料の量を制限したり堆肥投入等で土作りに力を入れている農家ほど夏場の高温障害や冬場の日照不作に対応できていた。

寒蘭にとっての理想の生物性を説明するのは難しいが、生物性を阻害する要因はいくつかあり、この阻害要因を一つ一つ排除することで理想の生物性が確保できるのではないかと思う。

Posted by woods at 2016年01月30日(土) 06時35分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2016年01月28日(木)

生物性2 [寒蘭の勧め(旧)]

画像(290x163)・拡大画像(1200x675)

ブログネタに土の話でもと思い生物性を思いついたが、この話は簡単に記事にはできない。解らないことが多いからだ。

ただ簡単に表すとこれだ。
画像の蘭だが、3年ほど前に不要なバックバルブを植えていた物が大きく育った物だ。

画像(290x163)・拡大画像(1200x675)

この3年間何一つ世話をしていない。まして肥料は完全な無施用だ。
長靴と比べて欲しい。蘭舎で育てるよりずっと大きな葉が育っている。

画像(290x163)・拡大画像(1200x675)

ここはこんな場所だ。25年ほど前に文旦や日向夏の苗を植えた畑。この片隅に寒蘭を植えてみた。

画像(290x163)・拡大画像(1200x675)

柑橘の苗を植えてから4,5年までは肥料をした記憶があるが、その後20年間は全く何もしていない。草が生えたら年に2,3度草刈り機で刈るだけだ。それでもこの日向夏のように毎年実を付けてくれる。

Posted by woods at 2016年01月28日(木) 17時54分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 2 )

2016年01月22日(金)

生物性 [寒蘭の勧め(旧)]

土の生物性は化学性、物理性以上に植物にとっては大事なことだがよく知られていない。特に寒蘭では多くが解っていない。
生物性はほとんどが根圏微生物の話で、根の内部を含め根の表面からわずか数ミリ程度の範囲で行われている生物活動だ。(リンク先は農文教のホームページ。詳しい資料を見るには会員にならないといけないが要約ページは只で見られる。このサイト参考になると思う。)
寒蘭を良く作るにはこの環境をいかに菌根菌など有益な微生物に都合の良い場にするかにかかっている。

かつて私は土壌改良材や施肥による化学性・物理性の改善には長けていたが生物性についてはあまり深く考えてこなかった。もちろん土作りに生物性(微生物の餌となる有機物施用等)が有効なのは理解していた。

画像(290x192)・拡大画像(1200x798)

昔話になるが、私は農業改良普及員(後の普及指導員)として農地造成事業の営農担当の仕事をしていた。県に30年勤めた半分の15年間携わった。画像は黒潮町の造成団地だが、高知県西部では昭和の終わりから平成の初め何もない山の中に農地が多く造成された。

画像(290x192)・拡大画像(1200x798)

私の仕事は化学性調査に基づいて造成事業としては堆肥を初めとした石灰やリン等の投入量を決定していた。営農開始後は作物ごとに土作りや施肥計画等を指導していた。

先に紹介した土壌の化学性の各項目は実際に分析していた。土壌改良の経年変化も多くの作物で見てきた。


生物性について考え出したのは県を辞めて本格的に寒蘭栽培を始めてからだ。それまでは漠然と蘭菌も大事かなと思っていた程度だが、調べるにつれて蘭菌=ラン菌根菌を初めとした根圏微生物がとても重要な働きをしていることを理解した。

今では施肥などで化学性を変えるより生物性を安定させることの方が重要だと思っている。
「大事なランほど肥料を控えろ!」がモットーとなった。実際、寒蘭では施肥が生物性を損ねている事例が多すぎる。

Posted by woods at 2016年01月22日(金) 10時18分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2016年01月13日(水)

化学性と物理性3 [寒蘭の勧め(旧)]

ゼオライトの効果については今後検証していくが、どちらにせよ1年ちょっとの使用なのでしばらくははっきりしたことは解らない。

前回の記事で勘違いさせたようだが、「ゼオライトの効果で根が良くなった」とは書いていない。赤玉土の使用を止めゼオライトに変更したのだが、赤玉土の使用を止めたこと自体が根を白くしたのかもしれないからだ。

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

それとゼオライト混入以前の配合も決して悪くはない。

左がゼオライト入り
右が赤玉土入り

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

水を加えて懸濁液を比較した。

これもそんなに極端に変わらない。
左がやや薄いか?

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

懸濁液を濾過してみた。
右が赤玉土のぶん色が濃いようだ。

この右の土でも寒蘭の生育はこれまでに一番良かった。それなのに何故赤玉土からゼオライトに替えたかは根を茶黒くしている原因の一つに「根被に吸い寄せられ表面に集積される土が濃い色だと茶黒く見える」があり私は販売主体に栽培している故に「購入者に好まれるよう、より白い根にしたい」と言う願望があったからなのだ。

ゼオライトについては決して新しい資材ではなく古くから田畑の土壌改良資材として活用されていた。
自分はその機能については熟知していたので、市販の培養土に混合されているのを見ても寒蘭の培養土に有益であるか疑問に思っていた。
「すでにいろいろと改善されて保水性・通気性・保肥性が十分あるのにこれ以上向上させてもいかがなものか?と・・・」

画像(360x88)・拡大画像(993x243)

上表は私が配合に参考にしているデータ。

土の化学性はばらつきが大きいので実際使用する土を分析してみないと正確にはわからないがこのような既存の数字を参考にしていた。
特にPHとCECが配合によっておかしな数値にならないように、目標の数値に近づくようにしていた。具体的にはPHは6.0前後に、CECは15以上にとかだが。
私の自家製ダケやさつま土のデータは無いが、ダケは白根より褐色森林土に近いかなとか、さつまは風化軽石と軽石、赤土が混ざった物なので軽石を赤玉土の方に向けた数値かなとか、ほとんど適当だが化学性がバランス良くなるようにしていた。

以前は白根土を主体に鹿沼土や日向土、それに焼き土(ドリームボールとかホウセンとか)を使っていた。その後、作に納得できなくて日向土をさつま土に替えたのも赤玉土を加えたのもCECを高めて保水性と保肥力を上げるためだった。結果的に石灰や苦土も多くなった。自家製ダケが主体となって4年。ゼオライト混合前の配合に施肥と潅水が合っていた。ゼオライトを混合してからは今の肥料では多すぎるか、潅水も少なくしても良いかなと考えている。

Posted by woods at 2016年01月13日(水) 17時00分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 2 )

2016年01月09日(土)

化学性と物理性2 [寒蘭の勧め(旧)]

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

私が根土から自家製ダケに変更してから5年。ゼオライトを配合に加えるようになって1年4ヶ月。
そろそろ新しい配合土の成果が見えてきたかもしれない。

画像(290x191)・拡大画像(1200x791)

先日1年3ヶ月前に新しい土に植えていた太湖を植え替えした。
たまたまだろうが理想とする状態だった。
病的な白さでなく土に馴染んだ白さだ。

肥料痛みも過乾燥や湿害も見られない。保肥性・保水性・通気性すべてが上手くいかないとこんな根にはならないだろう。

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

この中でゼオライトの効果は何なのだろうか?

根が汚れるので焼赤玉土やホウセン、普通の赤玉土の使用をやめゼオライトにした経緯がある。
土には土壌溶液が土壌粒子と粒子の間に保持されているが、土壌の粒子が細かいと土壌溶液内に溶け出して水を濁らしてしまう。赤玉土などは特に水に溶け出しやすい。

寒蘭の根がその水を吸収すると根被が濾紙のような働きをし細かな土を根被の表面に蓄積してしまう。根被はスポンジ状の組織なので内部にも濁った水は入ってしまう。これが根被が茶黒くなる原因の一つになっていた(根圏微生物の死骸なども付着している)。
またそれまで使用していた白根土も質が落ちていて表面が黒いものが混ざっていたので、これも色を悪くしていたと思う。

参考:根費の顕微鏡画像

ここまででゼオライトの働き=土壌溶液を茶黒くしない。これははっきりしたと思う。

画像は画学生の分析事例だが、水を濁らさないのは化学性ではなく物理性だな(^^;)
ゼオライトの化学性の特性はCECの大きさにある。本当はこれが大事なのだが・・・


Posted by woods at 2016年01月09日(土) 19時41分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 2 )

2016年01月06日(水)

化学性と物理性 [寒蘭の勧め(旧)]

土の話もしたいがこれは簡単には説明できないところが多い。
化学性や物理性に関わることは学問的に確立されているが、これに生物性(根圏微生物)が加わると皆目わからなくなる。寒蘭は特に蘭菌と関わっている。これにより複雑怪奇な世界になるのだ。
ただ基本的なところは科学性と物理性なのでこのあたりはある程度考えておかないといけない。

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

土壌の化学性は土壌によって違っている。
土自体が単独組成から成り立っている物から複数の土が入り交じっている物など様々で地域ごとに特性がある。

右の表は土壌の化学性を示した事例だ。
この項目が解る人は少ないと思う。目にするのはpHくらいだと思うが、それぞれ植物を育てるに当たって重要な項目だ。イオン交換容量(CEC)やリン酸吸収係数等はどんな土作りをしないといけないかの指標だ。


画像(210x290)・拡大画像(922x1270)

右の表は市販土の分析結果。
土壌の科学性から言えばこれらの数値を踏まえて混合した場合どんな結果になるかを想定した配合が必要になる。(実際そんなことは一般の人には不可能だが)

画像(290x238)・拡大画像(1200x987)

土を考える場合化学性も重要だが物理性も大事になる。特に施肥と水管理には土性が関わってくる。

土性とは土の粒子の内、砂(0.02mm〜2mm)とシルト(0.002mm〜0.02mm)と粘土(0.002mm以下)がどのように混ざっているかだ。この混ざり方によって保水性や保肥力が違ってくる。

寒蘭に使っている土はほとんどは直径2mm以上の粒だが、実際は表面には無数に細かな粒子が付着している。寒蘭栽培でもこの土性を考えて栽培するかしないかは生育を左右すると私は考える。ようは寒蘭の土にどれだけシルトや粘土が混ざっているかだ。
細かな粒子は電気的にくっついている物があるので水で簡単には流れないが、洗濯機で洗うようなことをすれば流れてしまいただの石になる。そうなるともはや植物を育てる土壌とは言えなくなる。昔はそんなことを勧める人もいた。もちろん礫耕栽培で溶液をコントロールすれば植物は立派に育つ。ただ寒蘭をそれで立派に育てるのは難しいと思う。

化学性と物理性があって初めてどんな施肥や水管理が可能となるのだ。
言い換えれば化学性と物理性が解らなければ施肥や水管理のしようが無い。
ただそのあたりは経験と勘で植物の生育を見ながら柔軟にやることになるだろう。しかしそれは概して全然別の方向に走っている場合も少なくない。肥料を欲していないのに施肥をしたり、水が不足しているのに水やりを控えたりと逆のことをしでかすかもしれない。

化学性と物理性を理解していればそう言う失敗は起こさないと思う。

また難しいことを書いてと思われるが、土は簡単ではない。

寒蘭は栽培者により採光や湿度等の棚の環境が異なる。ハウス園芸作物等では基本的に大きく変わらない(ハウスでは他の人と環境を合わすのも容易だ)が、寒蘭は他の植物と比べると育てている環境は人によって大きく違っているという特異性の高い園芸だ。そんななかで土だけ真似してもその土が自分の環境にあっているのか自分の施肥や潅水の仕方で良いのかは解らない。年数をかけて試行錯誤で自分の栽培方法と蘭舎の環境にあった土にしていくしかないと思う。その一考に土壌の化学性と物理性を考慮してもらいたいと思う。

Posted by woods at 2016年01月06日(水) 00時00分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 2 )

2016年01月04日(月)

私の蘭土 [寒蘭の勧め(旧)]

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

今日は配合土を作った。
(画像はできあがりから逆順)

配合については今までも何回か紹介してきた。あまり大きくは変わっていない。最近変わったのはゼオライトが10→20kgになったくらいだろうか。

土のことについて細かな説明・うんちくはしてこなかったが、この潅水だけでも理由がある。
ただ散水して洗っているわけではない。乾いている土を湿らせているのだ。土を科学的に安定させているのだ。こうすることによって植え付け直後の根痛みを防ぎ活着を促進してくれる土になる。このあと、明日か明後日キトチンキ1000倍液を10リッターほど潅注する。これで1ヶ月ほど寝かせて配合土が完成する。


画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

基本の配合は大きな違いは無いが試行錯誤で少しずつ変えてきた。現在はこの配合で落ち着いた状態だ。

自家製ダケ
大粒 約2.5袋
中粒 約3袋
小粒 約1袋
超高湿鹿沼土
大粒 1袋
中粒 2袋
小粒 1袋
さつま土
中粒 2袋
小粒 2袋
硬質鹿沼土
中粒 2袋
ゼオライト6号
1袋=20kg


画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

どんな土を使っているかは誰もが興味を持つことのようだが、それぞれの土をどのサイズで組み合わせているかまでは考えているのだろうか。
どんな土かとはよく質問されるが粒の大きさについての質問は皆無だ。

私は土の種類はその時に手に入る物で良いくらいに思っているが、粒の大きさについてはその土を生かすも殺すも組み合わせなのでずっと大事だ考えている。

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

右の画像は混合する前に層状に積み上げたところ
上から
ゼオライト6号
さつま土小粒
超硬質鹿沼土小
自家製ダケ土小
見た目にもかなり細かな粒だが、これらが全体の1/3を占めている。

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

自家製ダケ土
大中小と3種類を作っている。

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

大粒はこのエキスパンダメタル2枚重ねを通る大きさだ。

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

ダケ土は第三蘭舎の敷地造成時に出た土をストックしていたものだ。
褐色森林土に分類されるもので手で崩れるくらいの堅さで灰色の粘土が混ざっている。寒蘭の自生地を掘れば地面の下にいくらでもある土だ。

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

ふるいを通る大きさに木槌で粉砕している。

Posted by woods at 2016年01月04日(月) 18時21分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2015年08月29日(土)

蒸散器 [寒蘭の勧め(旧)]

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

「ハモグリバエの蒸散器防除法」
効果は実証していないのでお勧めと言うことではないですが、簡単な方法ですので紹介します。

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

トイレ用芳香剤の容器を使用。

容器を空にしてきれいに洗って芯を干しておく。
この容器の場合ですが芯は強く引っ張り上げると抜ける。
芯には抜け防止の爪があるので切っておくと農薬の入れ替えが楽にできる。

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

使用農薬はアディオン乳剤(成分=ペルメトリン)

1,000倍液を使用。

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

今回は試しに1個でしたが、蘭を取り囲めるよう数個作ると良い。

有効期間は不明だが、一般に農薬は水に希釈すると徐々に化学反応が進み殺虫効果が落ちてくる。1週間もあれば良い方だと思う。

この農薬の使用基準に蒸散法はないので自己責任でお願いします。

Posted by woods at 2015年08月29日(土) 15時55分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 2 )

「斜めに伸びてくる花芽」の補正法 [寒蘭の勧め(旧)]

画像(193x290)・拡大画像(801x1200)

「斜めに伸びてくる花芽の補正」

5セン以上伸びていたら大丈夫だと思いますが、花芽の元をアルミ針金を使って垂直に起こします。新芽が斜めに出ているのを直す要領です。あまり短いときにやると花芽を折ってしまいます。



画像(193x290)・拡大画像(801x1200)

花芽が10センチほどまでなら一週間ほど縛っておけば針金を外しても固まっています。
花芽が長く伸び過ぎた場合は針金掛けをしてもなかなか固まらないです。針金を除けても斜めになってしまいます。

また、この方法で斜めに出た花芽を早めに起こしておくと、支柱立てを急ぐ必要がないです。
支柱を立てようかどうか迷うような時、私はこの方法でとりあえず花芽を真っ直ぐにしています。

Posted by woods at 2015年08月29日(土) 15時08分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 2 )

2015年08月09日(日)

イチゴ炭疽病と濡れ時間の関係 [寒蘭の勧め(旧)]

栃木県農業試験場のデータにこんなのがあります。

画像(290x194)・拡大画像(933x626)

苺での試験ですが、
炭疽菌の入った水を噴霧後ポリエチレンの袋に入れて28℃の恒温器で培養(濡れ状態を保持)。時間別に袋から出し扇風機で15分乾かす。その後は通常の管理(底面給水)して病斑の発生と枯死状態を調べるというものです。

濡れ時間が6時間までは大きな差は無く少ないですが、それ以降は濡れ時間が長くなるほど病斑の発生量が増え48時間では7日後に半数、15日後には全部が枯れてしまっています。

元資料「イチゴ炭疽病の病原菌,生態ならびに環境に配慮した防除技術開発」

Posted by woods at 2015年08月09日(日) 14時58分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 2 )

2015年05月09日(土)

花芽分化 [寒蘭の勧め(旧)]

花芽分化について質問があったのでまとめてみた。
寒蘭の花芽分化についてはわからないことも多いが、
下のような説明で概ね合っていると思う。

グーグルで「花芽分化」を検索するとこのページが一番先に出てきた。

どこをみてもこのような説明なので・・・・
なかなかわからないのでイラストを作ってみた。

画像(290x192)・拡大画像(1200x798)

バルブを「やかん」に例えてみると理解しやすい。

バルブが大きくなってその中に十分な養分が貯まって初めて花が咲く。
山苗を作っているとわかるが3、4年ではなかなか花は付かない。
多くが6,7年以上かかっている。
これは内的要因としてバルブが一定の大きさ以上になり、さらにその中に花芽を付けるに十分な養分が蓄えられなくてはならないからだ。

私は寒蘭の花芽分化時期は多くの蘭類と同様6、7月頃だと思っていた。しかしながら今の栽培方法を行っている中で5月の下旬、早ければ中旬には花芽が出来ているように思うようになった。遅くとも夏至までにはほとんどが完成しているようだ。

おそらく外的要因として長日に向かう環境が影響してくるからだと思う。

画像(290x192)・拡大画像(1200x798)

一方でこの時期花芽分化を妨げる働きをするものがある。
それは新芽の成長だ。

イラストのようにせっかく養分が満たされそうになっているのに葉芽が伸長してくるとそちらに栄養を取られてしまう。注ぎ口の壊れたやかんのように花芽分化にたりる養分が貯まらなくなるのだ。

対策としては言うまでも無く、大きなバルブにして新芽が少々伸びても養分が足りるようにすることだ。
山出し5年目辺りの微妙な株は、まずは新芽は1つにすることだ。
それと浮かれて早く芽を出させ過ぎないこと、花芽分化してから芽が出るのがベストだ。

Posted by woods at 2015年05月09日(土) 14時03分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 3 )

2014年07月01日(火)

アメダスデータ中村 [寒蘭の勧め(旧)]

6月の気温が気になったのでアメダスデータ四万十市中村をグラフにしてみました。

普通なのか異常なのか、気にしなくて良いのか・・・

今年は夜寝苦しくなくて良いのですが・・・

画像(360x247)・拡大画像(1200x825)

アメダスデータ大津と後免を比べてみました。

画像(360x247)・拡大画像(1200x824)


余談ですが昔はこんなグラフ作りをしょっちゅうしていました。
Excelで作成Photoshopで画像にしている。
短時間で出来ますので見てみたい所がありましたら作成します。
希望がありましたらコメント下さい。

Posted by woods at 2014年07月01日(火) 08時43分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 4 )

2014年06月28日(土)

YANMARのホームページ [寒蘭の勧め(旧)]

画像(290x236)・拡大画像(1044x851)

YANMARのホームページ に土壌微生物のことや土壌(肥料保持のメカニズムなど)をわかりやすく解説したページを見つけました。参考になると思います一度閲覧してみて下さい。

Categoryの
Vol.2=根圏微生物のことなど
Vol.5=CEC(陽イオン置換容量)のことなど
右下の「土壌診断」にはPHとECの簡易診断のことが記述されています。



一口情報

根被が褐色に変色するのは過湿であったり微生物と細胞が酸素を取り合ったりして細胞が酸欠になり死滅するからだと考えられがちですが・・・・(以前そう言う記述をしたことがあったと思いますが訂正します)

「根被細胞は分裂後しばらくはその内部に細胞質や核などが見られるものの、それらはすぐに消失して細胞壁の繊維質だけが外壁となって残り、中は空洞化したスポンジ状の死んだ状態の組織となる。」

このように根被は根の先端部分で形が決まってしまえばすぐに死滅してしまう組織です。過湿などからの酸欠に影響を受けるのは外皮から内側の生きた皮層組織であり、それらが白いままであれば過湿は全く心配することではないことになります。


Posted by woods at 2014年06月28日(土) 06時47分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 2 )

2014年06月21日(土)

混合液の作り方 [寒蘭の勧め(旧)]

正式な方法ではないが私の混合液の作り方を紹介する。

画像(290x192)・拡大画像(1200x797)

ゲッターなどの水和剤は水に溶くときは注意が必要。

少量の水で練り込むように粉と水を混ぜる。

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

良くかき混ぜて懸濁液を作る。

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

それに水を加えて薄める。

画像(290x192)・拡大画像(1200x797)

薄めた懸濁液を桶の水に溶かす。水の量は最終の薬液の1/3くらいの量。水を加えながらかよくき混ぜる。

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

次に加用する農薬もあらかじめ薄めた液を作っておく。

これを水を加えながら桶に少しずつ流し込みよく混ぜる。

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

さらに加用する場合も同じように薄めた薬液を作っておき、薄めた液を混ぜる。

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

水を足しながら作業を進め最終の薬液量とする。



本来なら3つの桶にそれぞれの薬液を作っておいて最後に大きな桶に3つを混ぜなければならない。
最初から最終の薬液量の水をためておいて、農薬の粉や液の現物を投入するのはNGだ。

Posted by woods at 2014年06月21日(土) 06時04分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

過去の記事へ

ページのトップへ ページのトップへ

寒蘭の勧め(旧)の最近の記事

最近のコメント

リンク集

RSS1.0

[Login]


powered by a-blog
Copyright (C) 2014 Tosakanran's Site Woodynote All rights reserved.