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2018年08月22日(水)

スボ抜け [寒蘭の勧め(旧)]

先にもスボ抜けという病気はなくいろんな病気あるいは生理障害の一つの症状だと書いたが、どんなことか解らなかったと思うので、炭そ病と腐敗病から来るスボ抜けを説明したい。

画像(290x193)・拡大画像(1202x800)

画像はイメージだが(正常な株)これで説明する。

まず炭そ病だが、炭そ病は野菜や果樹の一般的な病気で何処でもある。ただし20年程前にそれまでに効いてた農薬に抵抗性がある菌が蔓延して大問題になっていた。今でも完全に抑えることは難しいが新しい農薬や耕種的防除で防除が困難な病害とは言えなくなっている。
しかしながら寒蘭では、炭そ病で枯れていると思われる葉先や袴がまだまだ多く見られる。なんとなく生育不良も慢性的な炭そ病の症状だ。そしてスボ抜けだが、これは袴が炭そ病で枯れ上がっているバルブに見られる。

画像(290x217)・拡大画像(640x480)

[画像は黒点からあふれ出た炭そ病胞子]
袴が炭そ病に冒されていると葉裏に黒色小粒点(分生子層)が生じる。この小粒が水分を含むと割れてなかから分生子(胞子)が飛散する。葉先が枯れている場合も同じだが枯れた葉先はこまめに切り取っていると感染源にはなりにくい。胞子の発生量は濡れ時間に比例して多くなる。
生長した葉やバルブは潅水等による胞子の飛散では通常は容易に感染しない。ただし炭そ病で枯れ上がった袴から直接出てくる新芽は袴との摩擦で傷を帯または新芽のバルブの発育で袴が割れることにより傷が入り、それらの傷に胞子が侵入することで炭そ病に感染している。

対策としては袴に黒点を生じさせにいようにこまめに薬剤防除するか、潅水後の濡れ時間を極力短くすることだ。


画像(290x193)・拡大画像(1202x800)

一方腐敗病はある種のフザリウム菌で起こっている難治療病害。フザリウム菌自体は何処にでもいる普通の腐食菌だが、あるときから病原性を持ったグループが発現、幅をきかせてきた。ただし感染ルートが特定しやすく感染源を排除していくことで蘭棚からは根絶可能である。

画像(290x217)・拡大画像(640x480)

[画像は腐敗した葉からあふれ出たフザリウム菌胞子]
蘭棚に感染した株が入っていると、その株は発症時期が夏場であれば1〜2ヶ月、それ以外でも2〜3年で株全体が枯死してしまう。菌は枯れた葉元やバルブで増殖し潅水で回りに飛散する。このため発症株は症状の軽い内に隔離するのが鉄則。もし隔離か遅れた場合は半径1m位は回りの蘭に胞子が飛散していると考えられる。これも胞子が飛散していても全てが感染するわけではなく、たまたま条件があった株に感染している。通常の胞子は飛散しても2〜3ヶ月以内に死滅する。これをクリアすれば感染の心配は無くなるのだが、そう簡単にはいかない。フザリウム菌は病株で条件が悪くなると(例えば寄主が枯れてしまうなど)通常の胞子から厚膜胞子という簡単には死滅しない胞子が発生する。この圧膜胞子は5〜6年生き続ける。その間感染先が出現するのを密かに待っている。

腐敗病のスボ抜けだが、発病株から飛散した胞子または厚膜胞子が土や陶器鉢の間隙に紛れ込み感染先が近づくのを待って時限爆弾的に発症していることが多い。新芽の袴が縦割れしたり植え替えなどでバルブや根にギズがあると感染株から直接感染するが、感染株を隔離し何ヶ月も経つのに発病するのは胞子の所まで感染先が近づくのに時間が掛かるからだ。感染先というのは新根の先端である。根の伸長とともに根の先端が胞子の所まで伸びると胞子が発芽し根に侵入する。
侵入した胞子は菌糸を伸ばしながら根の導管を通ってバルブまで達する。この時親株なら導管が詰まることによる水不足で葉元が黄化し節から落葉する。幼木あるいは軟弱な新芽はバルブ自体を侵されてスボとなっているようだ。

腐敗病は蘭舎に感染源を入れないことが肝心で、入ってしまえば何年もかけてこれらのことがないように農薬防除と器具や鉢の消毒をこまめにやって根絶するしかない。

Posted by woods at 2018年08月22日(水) 06時43分   トラックバック ( 0 )   コメント ( 2 )

コメント

炭そ病の場合新芽が出てくるとき罹病している親バルブが感染源となって移っています。感染源が有る限り新たに芽が出ても感染する可能性はあります。炭そ病のズボヌケの場合新芽だけで終わる場合は多いと思いますが、処置が遅れて放っておくと親バルブまでダメになることもあります。そのため出来るだけ初期に新芽をバルブ元から剪除しバルブの接合部にアミスターなどの薬液を塗布しておくことが大事です。
次の新芽がスボにならないようにするためには、新芽はまだ土の中にいるときに感染していることが多いので定期的な薬剤の予防散布が肝心です。

woods 2018年08月25日 09時40分 [削除]

今晩は。
ズボ抜けにも2通りの種類があると言う事が良くわかりました。今まではすべて泣く泣く廃棄処分にしていましたが残せる株もあったかと思うと。。
炭疽病起因のズボ抜けの場合はその後に出てくる新芽などは炭そ菌に侵された状態ででてくるのでしょうか?
ズボ抜けした株が消毒などによって健全な株に戻ると言う事は可能なのでしょうか?
つまらない質問ですいません。

aino 2018年08月24日 00時42分 [削除]

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