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    Woods@管理人のブログです。

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2018年08月22日(水)

スボ抜け [寒蘭の勧め(旧)]

先にもスボ抜けという病気はなくいろんな病気あるいは生理障害の一つの症状だと書いたが、どんなことか解らなかったと思うので、炭そ病と腐敗病から来るスボ抜けを説明したい。

画像(290x193)・拡大画像(1202x800)

画像はイメージだが(正常な株)これで説明する。

まず炭そ病だが、炭そ病は野菜や果樹の一般的な病気で何処でもある。ただし20年程前にそれまでに効いてた農薬に抵抗性がある菌が蔓延して大問題になっていた。今でも完全に抑えることは難しいが新しい農薬や耕種的防除で防除が困難な病害とは言えなくなっている。
しかしながら寒蘭では、炭そ病で枯れていると思われる葉先や袴がまだまだ多く見られる。なんとなく生育不良も慢性的な炭そ病の症状だ。そしてスボ抜けだが、これは袴が炭そ病で枯れ上がっているバルブに見られる。

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[画像は黒点からあふれ出た炭そ病胞子]
袴が炭そ病に冒されていると葉裏に黒色小粒点(分生子層)が生じる。この小粒が水分を含むと割れてなかから分生子(胞子)が飛散する。葉先が枯れている場合も同じだが枯れた葉先はこまめに切り取っていると感染源にはなりにくい。胞子の発生量は濡れ時間に比例して多くなる。
生長した葉やバルブは潅水等による胞子の飛散では通常は容易に感染しない。ただし炭そ病で枯れ上がった袴から直接出てくる新芽は袴との摩擦で傷を帯または新芽のバルブの発育で袴が割れることにより傷が入り、それらの傷に胞子が侵入することで炭そ病に感染している。

対策としては袴に黒点を生じさせにいようにこまめに薬剤防除するか、潅水後の濡れ時間を極力短くすることだ。


画像(290x193)・拡大画像(1202x800)

一方腐敗病はある種のフザリウム菌で起こっている難治療病害。フザリウム菌自体は何処にでもいる普通の腐食菌だが、あるときから病原性を持ったグループが発現、幅をきかせてきた。ただし感染ルートが特定しやすく感染源を排除していくことで蘭棚からは根絶可能である。

画像(290x217)・拡大画像(640x480)

[画像は腐敗した葉からあふれ出たフザリウム菌胞子]
蘭棚に感染した株が入っていると、その株は発症時期が夏場であれば1〜2ヶ月、それ以外でも2〜3年で株全体が枯死してしまう。菌は枯れた葉元やバルブで増殖し潅水で回りに飛散する。このため発症株は症状の軽い内に隔離するのが鉄則。もし隔離か遅れた場合は半径1m位は回りの蘭に胞子が飛散していると考えられる。これも胞子が飛散していても全てが感染するわけではなく、たまたま条件があった株に感染している。通常の胞子は飛散しても2〜3ヶ月以内に死滅する。これをクリアすれば感染の心配は無くなるのだが、そう簡単にはいかない。フザリウム菌は病株で条件が悪くなると(例えば寄主が枯れてしまうなど)通常の胞子から厚膜胞子という簡単には死滅しない胞子が発生する。この圧膜胞子は5〜6年生き続ける。その間感染先が出現するのを密かに待っている。

腐敗病のスボ抜けだが、発病株から飛散した胞子または厚膜胞子が土や陶器鉢の間隙に紛れ込み感染先が近づくのを待って時限爆弾的に発症していることが多い。新芽の袴が縦割れしたり植え替えなどでバルブや根にギズがあると感染株から直接感染するが、感染株を隔離し何ヶ月も経つのに発病するのは胞子の所まで感染先が近づくのに時間が掛かるからだ。感染先というのは新根の先端である。根の伸長とともに根の先端が胞子の所まで伸びると胞子が発芽し根に侵入する。
侵入した胞子は菌糸を伸ばしながら根の導管を通ってバルブまで達する。この時親株なら導管が詰まることによる水不足で葉元が黄化し節から落葉する。幼木あるいは軟弱な新芽はバルブ自体を侵されてスボとなっているようだ。

腐敗病は蘭舎に感染源を入れないことが肝心で、入ってしまえば何年もかけてこれらのことがないように農薬防除と器具や鉢の消毒をこまめにやって根絶するしかない。

Posted by woods at 2018年08月22日(水) 06時43分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 2 )

2018年06月23日(土)

花芽分化2 [寒蘭の勧め(旧)]

画像(290x193)・拡大画像(1202x800)

新芽に花が付くことは少なくない。新芽の花芽分化はどうなのだろう。

新芽でも今までの経験から画像の蘭くらい芽が伸びていたらこの時期までに花芽分化しているようだ。


画像(290x193)・拡大画像(1202x800)

画像は上の左の鉢だが、大きな新芽の反対側に小さな新芽が見えている。左は花芽を付けるが右の芽は付けないだろう。この場合は左にしっかりした花を付けたいので右の芽はかぐとよい。


画像(290x193)・拡大画像(1202x800)

こちらも同様だ。

画像(290x193)・拡大画像(1202x800)

こちらは「夢路」
もったいなくてかげないだろう。

画像(193x290)・拡大画像(800x1202)

ただ新芽についてはその成長を見ているとそんなに早く(夏至までに)その小さな芽(画像の右側の芽くらい)に花芽分化したと思われないケースがある。
花芽分化は夏至までに終わっていると書いたが、それは普通の場合で例外もある。どう考えても遅くに花芽が付いたと考えられるケースがあるからだ。開花が12月あるいは年明けになるのでまれな事だと思うが。

夏場は困難だが夏を過ぎて涼しくなるとバルブに見合った貯蔵養分が出来花芽分化する蘭ができる。管理を上手くすれば新芽に花を咲かすことが可能と言うことだ。


画像の蘭は撮影日12/12、花芽を確認したのが10月に入ってからだ。

Posted by woods at 2018年06月23日(土) 15時46分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2018年06月20日(水)

花芽分化 [寒蘭の勧め(旧)]

画像(290x193)・拡大画像(1200x800)

今年は明日が夏至だ。
寒蘭の花芽分化を考えたときこの日がボーダーかなと思う。
花芽分化については以前のブログで解説したので理解してもらっていると思う。

画像(290x193)・拡大画像(1200x800)

エビネや春蘭も同等だと思うが寒蘭の花芽分化も【日長や温度に直接依存せず,日照条件に支配される炭水化物の体内含量が関与している。】で説明できる。

これを光合成管理から考えると、特に先日提唱した「飽差」の概念から、気孔を閉じて光合成が出来ない時間が多くなるこれからよりも、天気さえ良ければ気孔が開いて活発な光合成をしていた4〜5月が花芽分化に大切な時期だったと言うことが解ると思う。夏至を迎えるこれからは花芽分化は期待できないかもしれない。
(私は出来ないと思っている。ただし昨年の芽であって新芽は少し違ってくるようだ。)

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それでは何故、今の時期もこれから先も芽かきをするのか?

これから新芽が伸びてくると新芽に養分を取られせっかく花芽分化した花芽が成長続けられずに途中で止まってしまうかもしれないからだ。また展示会用なら複数芽を1芽にすることで輪数を確保し花間良くより大輪にすることが出来るからだ。審査上無芽にするのは避けるが、全ての芽をかぐと花はより立派に咲いてくれる。

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花芽が伸びた満天。

1週間ほど前に気がついたが満天に花芽が付いていた。
早くに花芽分化したのだろうが、たまに気の早い蘭がある。

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ここまで伸びるには花芽分化して2〜3ヶ月は掛かると思う。
3月下旬から4月中旬頃にしていたのだろうか?

画像(290x193)・拡大画像(1202x800)

新芽の画像は花芽分化と関係ない。
記録程度に載せている。

これは「土佐黄金」。危うく絶滅になりかけた絶滅危惧種だ。

Posted by woods at 2018年06月20日(水) 20時10分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2018年06月13日(水)

肥料3 [寒蘭の勧め(旧)]

肥料を光合成管理の視点から考えたとき、
溶液として見るのが一番良いだろう。理解しやすいと思う。
環境制御型農業では土を使わない。根を保持するのにロックウールが多く使われていてその下にある溶液槽に根がびっしりと張っている。
寒蘭も用土は身体を保持するだけで根の回りに溶液が常に満たされていると考えると肥効の仕組みがよく解るかもしれない。

画像(290x193)・拡大画像(1202x800)

実際はそれ以外の要素も複雑に影響するので簡単ではないが、基本として置き肥は鉢サイズにより施用量が変わることは理解して欲しい。

画像(290x193)・拡大画像(1202x800)

画像の鉢は私が今メインに使っているものだ。
左から
プラ鉢4.5号
プラ鉢5号
陶器鉢の5.5号(裾広蘭鉢)
陶器鉢の6号
陶器鉢の6.5号




実際これらの鉢に用土がどれだけ入るかを計ってみた。
下の表のようになった。1リッターから3リッターまででちょうど0.5号毎に0.5リットル増えていた。

画像(360x149)・拡大画像(744x308)

ここで三相構造が必要になってくる。過去記事に載せているので見逃した人はもう一度見てください。
施用した肥料の多くはこの液相に溶け出して根から吸収される。上の表はこの液相を30%ととして算出した。0.3リットルから0.9リットル。0.5号大きくなるにつれて0.15リットル増えている。

養液栽培では季節や成長過程で変動させているが、日々一定した肥料濃度を求められている。

ここまで言ったら解ると思うが、液相の水分量に応じた置き肥量にしないと液相内の肥料濃度が違ってくる。一定にするためには鉢の大きさにあった施用量にしないといけないのだ。(実際には潅水量などで違ってくるが基本はサイズ毎に量を加減することだ)

なお、液肥の潅注であれば鉢のサイズは考えなくて良い。余分なものは鉢に残らず流れ出てしまう。

Posted by woods at 2018年06月13日(水) 19時42分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 2 )

2018年06月11日(月)

肥料2 [寒蘭の勧め(旧)]

画像(290x222)・拡大画像(529x405)

この図は施肥量の目安として土佐寒蘭栽培歴に記載している物だが、自分はもう何年もこの施用量で置き肥をしている。
表の見方は有機質肥料では5号鉢で1.9g、6号鉢で2.6g、7号鉢なら3.6gと言った感じだ。
鉢サイズは胴絞りの陶器鉢で算出している。

画像(290x193)・拡大画像(1202x800)

この量は一回の上限としている。これ以上多くやることは根痛みを起こす危険が有りお勧めできない。


画像(290x193)・拡大画像(1202x800)

よく聞かれるが肥料が上手くやれているのか解らない。多いのか少ないのか解らないと言うことだ。

この一回量は例えば1.5倍ほどこれより多くやっても半分になっても肥効としては大きく違わない。なぜなら置き肥の肥料成分の多くは潅水で流亡するからだ。窒素などは7〜8割は流れ出ていると思われる。有機質肥料が分解されてできるアンモニア態窒素は土壌のCEC(陽イオン交換容量)の大きさに左右されて土に吸着されて残る。

画像(290x193)・拡大画像(1202x800)

ここで重要なのが施肥回数だ。

私はこの一回量を3月6月9月の3回やっている。これで大きく不足するとは思わないし過剰だとも思っていない。


画像(290x193)・拡大画像(1202x800)

不足している場合は回数を多くすると良い。例えば2月4月6月8月10月とか。多いと思えば3月6月の2回にすれば良い。

Posted by woods at 2018年06月11日(月) 19時22分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 3 )

2018年06月09日(土)

肥料 [寒蘭の勧め(旧)]

画像(290x193)・拡大画像(1202x800)

右の鉢は大きな新芽が出ていた。ピンク芽でよく目立つので写真に撮ったが、早い鉢はこれくらい芽が伸びてきた。
そろそろ新芽のために肥料をやらないといけない思っていた。

この株は3月10日に置き肥をして1ヶ月ほど前に新しい土で植え替えている。途中葉面散布を3回ほどしているが、この芽を伸ばすために肥料はしていない。

画像(290x193)・拡大画像(1202x800)

こちらは今朝の蘭舎
この棚は一番日当たりが良い。少しくたびれて黄色くなったのもある。

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棚毎に撮っている。
この棚がは日当りはいいが葉の色は良くも悪くも無いと思う。

画像(290x193)・拡大画像(1202x800)

北側の一番日が当たりにくいところは青々としている。

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先の棚よりこちらは日が当たる。少し黄色っぽい。

画像(290x193)・拡大画像(1202x800)

黄色く見える葉はほぼ黄金葉。黄金葉以外は良くも悪くもない。

上手く説明できないが、大きな芽を出すためにとか良い花を付けるためにとかで肥料をやるのではなく、施肥の考え方は光合成に見合った肥料をやることである。
同じ施肥をしても日当たりが良くて光合成が盛んに行われるところは不足するし日当たりが悪いところは余ってしまう。葉の色は肥料が足りているか不足しているかの目安になっている。ただし実際の判断は難しい。

今年に入ってからの肥料

2/18 クミユーキ2号+メリットM各1,000倍 潅注
3/4  アミノメリット特青2,000倍 消毒に加用
3/10 グリーンキング置き肥 鉢当たり2−4g
4/7  メリットM2,000倍 消毒に加用
4/27 メリットM2,000倍 消毒に加用
5/18 アミノメリット青2,000倍 消毒に加用
6/9  グリーンキング置き肥 鉢当たり2−4g

私は定期的に置き肥をし、間に肥料切れだと思われるときに液肥を潅注している。消毒時の葉面散布は大きな効果は期待できないので気休め程度だ。

Posted by woods at 2018年06月09日(土) 12時38分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 2 )

2018年06月05日(火)

飽差 [寒蘭の勧め(旧)]

画像(290x233)・拡大画像(863x695)

画像は飽差表

最近よく目にする飽差だ。1℃から40℃までの温度に対した湿度40%から5%毎の飽差値を表している。3以上〜7未満を赤く強調している。飽差がどう言う物かはリンク先やネットで見て貰いたい。30℃以上はネット上に落ちていないので自作しました。もしかしたら間違えているかもしれません。間違えてたらごめんなさい。


飽差は光合成管理を考えた場合もっとも重要な要素だが、別に深く考えなくても、リンク先にあるように「おおまかには、二〇度以下では相対湿度を七〇%、二五度くらいなら八〇%、三〇度以上の高温時は八五〜九〇%で管理すると適正飽差になり、作物の生育がよくなる。」でいいのだろう。また、悪条件下では植物は生き伸びろうとして頑張るので全てが当てはまるとは思えない。もしかして寒蘭は乾燥に強いかもしれない。

画像(290x233)・拡大画像(863x695)

逆に飽差表から光合成が破綻した黄化葉の発生原因がわかる。

通常の蘭舎なら35℃を超えるとき湿度を85%以上に保つことは困難であり、気孔の開かない状況下では弱光(1万ルックス以下)でも障害を受けやすくなる。
この赤い範囲に湿度をコントロールできれば15千ルックス以上でもスムーズな光合成ができ葉が黄化することは無いかもしれない。


画像(290x193)・拡大画像(1202x800)

湿度(飽差)管理については、私なりに出来ることはやってきたと思います。数年前から続く夏場の酷暑対策として、潅水間隔を短くしたこと、床面散水したこと、蘭棚の天井ビニールを残しサイドを1メートル高に囲っていること、等です。

Posted by woods at 2018年06月05日(火) 06時48分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2018年06月04日(月)

新シリーズ開始 [寒蘭の勧め(旧)]

画像(290x193)・拡大画像(1202x800)

自分のパソコンの中にこんな画像がある。

16年前の建設風景だ。
今ではよく見かけるが、環境制御型軒高ハウスだ。

画像(290x193)・拡大画像(1202x800)

当時はオランダ方式の大型ハウスは珍しかったと思う。一棟1ha超の大型ハウスだ。

オランダから入った全く新しい(実際はそうでも無いが規模が桁違いに大きい)農業が始まった。
その考えはとにかく光合成量を増やして収量を多くすることで、今までの土づくりや肥料とかをどうしたら良いかというレベルの農業から、高次元の未来型農業へ転換する物だった。光合成管理という概念だ。

植物の光合成に影響を及ぼす主な環境要因は気温、風、二酸化炭素、湿度(飽差)、溶液の5つで、この5つをコントロールすることで、光合成速度を高めるというものだ。

当時私はオランダこそ行っていないが、カゴメがいち早く導入したこのオランダ方式の農業を学んだ。
自分は実践部隊ではなく
この施設を導入するに当たって少し関わっただけだが。ただ当時10a当たり12〜3トンしか採れないトマトをどのようにして40トン採るかで頭を悩ませた。



このシリーズでは光合成管理という考え方から寒蘭を語っていきたいと思います。

Posted by woods at 2018年06月04日(月) 06時00分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2017年07月14日(金)

夏芽? [寒蘭の勧め(旧)]

今年はこんな芽が多い。株元の小さな芽。
7月になって伸びてくるので夏芽と言って良いかもしれない。

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成長した秋芽に付いた芽。

今年は芽が早いとか遅いとか色々言っている人があったが、寒蘭の葉芽は何を基準に伸びてくるのだろうか? 少し考えてみた。

やはり温度だろう!昔から電気を入れるといって加温していた栽培方法では最低温度を18℃くらいにしていた。これにより2〜3ヶ月後には新芽が土を切って出てきた。

余談だが、超ベテランの〇氏だが、本部の芽会前に「自分の蘭は一行に芽が伸びてこない」(どうしたことかと思っている様子だった)と言われた。
4月の中頃から換気窓を夜は開け放しにしているのも聞いたが、まだまだ夜温が低い頃で自分は夜は閉めているのに良いのかなと思った。

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上の表は四万十市中村の昨年9月−12月と今年4月−7月のアメダスデータ。半旬別の気温をまとめている。

自分がよく秋芽と言っていたのは昨年の内に葉芽として成長しはじめた芽という意味であり、決して秋の内に土を切って伸びていた芽というだけではない。
花が終わって冬の間に植え替えしているとバルブの元に新芽が膨らんでいるのに気がつく。これも秋芽だ。


何らかの影響で葉芽として成長し始めるのは、最低で15℃、平均で20℃以上の温度があるときではないだろうか?
秋は10月中下旬以前。春は5月下旬以降だ。

秋はそれまでに親バルブが仕上がると葉芽が生長し始める。
冬の間寒いと休眠するが、根と同じで最低温度が5℃以上あれば成長を続ける。そのため私の蘭舎でも年を越してすぐから新芽が土を切って見えてくるものがある。

春はどうしても気温が上がる5月中旬以降になるだろう。それが春芽だ。

夏芽は秋芽が生長しバルブが充実した後、暑くならないうちに付いた芽だ。

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今年の蘭は秋芽が多かった。そのため春先の芽の伸びは早かったが、自分の管理では春芽も人よりは早い。

ずっと保温している人と、昼間の換気のまま夜も窓を閉めないでいる人とは芽の出は違って当たり前なのだろう。

Posted by woods at 2017年07月14日(金) 22時27分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 1 )

2017年06月15日(木)

過去記事の「花芽分化」 [寒蘭の勧め(旧)]

芽かきについていくつか質問があった。それはそれで答えているが、その前提となる花芽分化については電話やメールでは簡単には説明しきれない。

過去記事の「花芽分化」をもう一度よく読んでいただきたい。ブログにアップしたときはよく解らずスルーされた方も多いかもしれません。まとめて読んでいただくとよく解ると思います。

春芽に付く花については、昨年の事例から少し考え直さないといけないかもしれないが、前年の新芽バルブの花芽分化については概ねこれでいいかと思う。

寒蘭の花芽分化については
私の考えを随時ブログにまとめている。

平成24年6月〜7月の説明(旧ブログ
花芽分化
花芽分化2
花芽分化3
花芽分化4
花芽分化5
花芽分化6
花芽分化7
花芽分化8



平成27年の説明

Posted by woods at 2017年06月15日(木) 09時58分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 2 )

2017年02月01日(水)

今回の配合 [寒蘭の勧め(旧)]

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今回は配合を少し代えてみた。
硬質鹿沼を2袋から4袋に増やしゼオライトも20Kgに戻した。

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ダケ土は西土佐の竹内山からもらってきたもの。
土嚢袋に6袋。

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これを細かく砕き、その後篩を通して選別。

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ざっとエクスパンドメタル(二枚重ね)に通し、その後大中小に分けている。

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これを大中小に分ける。
(微塵を除去すれば分ける必要は無いが、量を把握するため区分している。)

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作業台の上にそれぞれの土をサンドイッチ状に重ね、混ぜている。

配合を代えたのは

全体的に鉢が小さくなってきたことに起因し夏場の高温対策に理由がある。保水力を少しでもアップしたく全体を小粒化することで液相を増やした。ゼオライトは入れすぎかと前回半量としたが、小粒化と保肥力アップのため元に戻した。

Posted by woods at 2017年02月01日(水) 08時34分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 2 )

2016年11月04日(金)

色の悪い原因 [寒蘭の勧め(旧)]

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今日はこんな写真撮ってみました。

桃紅花の花弁画像です。
右は花弁の表面を拡大して見たところです。濃い赤いところと薄くピンクぽっいところが混ざっています。

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こちらは上の画像の左端を輪切りにしたところです。

赤いのは花弁裏表どちらにもありますが、中央部には見えていません。

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上のカ所をさらに拡大した画像。

赤い細胞と透明な細胞さらに緑ぽい細胞が混在しています。

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こちらはサラサの花弁。
色素の濃いところ薄いところが筋状になっている。

画像(290x193)・拡大画像(1200x800)

上の拡大。

細かく説明しなくても今年の色の良くない原因がわかると思います。
花弁に葉緑素があると色が悪くなります。

Posted by woods at 2016年11月04日(金) 21時24分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 4 )

2016年10月19日(水)

頂花の方向修正 [寒蘭の勧め(旧)]

画像(193x290)

9月に花配りの方法を紹介しました。http://www.tosaran.com/ablog5/tb.php?ID=610

頂花の処理の仕方が抜かっていましたので参考までに。

画像(193x290)・拡大画像(801x1200)

この株は蕾を螺旋状に配ると第1花を正面にしたとき、頂花が右を向いてしまった。

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

修正の方法は色々あると思うが、

私は針金の先端を曲げてそれに蕾を沿わすことで修正している。

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

簡単な方法だ。
針金が細いので簡単に曲げられ頂花の方向を決められる。

画像(193x290)・拡大画像(801x1200)

これでしばらく置くと固まるので後は針金を外して最終的にハンドパワーで微調整する。

Posted by woods at 2016年10月19日(水) 22時49分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 2 )

2016年09月25日(日)

三相構造 [寒蘭の勧め(旧)]

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土壌の三相構造において「理想割合=固相40%、液相30%、気相30%」はよく聞くところだが、
実際に自分の土がどんな割合かを知っている者はほとんどいないと思う。
調べるには実容量測定器とか高温乾燥機とか専用の機械が必要だからだ。
そこでなんとか簡易な方法がないかと思っていところ、ホームセンターでこんなのを見つけた。米とぎシェーカーだ。

使い方はこんな感じだ。
ユーチューブに動画があった。

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

今回調べたのは市販の「ラン土」
画像の左下=中粒、右下=小粒、上は中と小を混ぜたものだ。

画像(290x193)・拡大画像(1200x800)

もちろん自分の配合もだ。
画像の左が私が使っている配合。右がラン土の中と小を混ぜたもの(上の画像の上のもの)。


画像(290x193)・拡大画像(1200x800)

実際には水分0の土壌がどれだけ水を吸っているかを測るのだが、高温乾燥機が無いので風乾土で測定した。とにかく1ヶ月以上陰干しし水分を抜く。それでも重量で普通の土は5%程度は水分を含んでいる。赤玉土などは10%くらいはあるかもしれない。厳密で無いが吸水量を3%補正した。

米とぎシェーカーの容量は約950ml。これにすり切れに土を入れる。


画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

蓋をし逆さにし水を入れる。
950mlの容器に土を入れて水を入れるとこの場合610ml入った。一晩かけてしみ込ます。

画像(290x193)・拡大画像(1200x801)

水を含んだ土を逆さにして、自然落水させる。本当は24時間は必要だが12時間かけて水を切る。
落水した水が左のカップだ。360mlあった。

610ml入れて自然落下した水(重力水)が360mlだ。風乾土に差し引き250ml残ったことになる。容器が950mlなので水が入った分を除くと340ml。340mlが固相、360mlが気相、250mlが液相相当分となる。ただし水分が5%程度含む風乾土のため吸水量を補正する(とりあえず吸水量3%増とした)。

これで出したそれぞれの土の三相分布が下表だ。

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Posted by woods at 2016年09月25日(日) 21時48分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 2 )

2016年09月17日(土)

植え付け方法 [寒蘭の勧め(旧)]

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自分の植え方は何度も紹介してきたと思っていたが、細かくは説明していなかったかもしれない。

前もって準備した配合土は植え付け時に篩で微塵を除去している。
現在使用したているのは5ミリ目の篩だ。これで篩うと微塵というより小粒がかなり出来る。

ずっと以前は2ミリで篩っていた。現在は小粒を化粧土に使いたくて5ミリ目としている。小粒は更に2ミリ目で篩い微塵を除去している。

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配合土を適量篩に入れて軽く2,3回篩う。

このつちを手でつかんで鉢に入れている。

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篩うときに大きな粒が上に来るので。きもち下の方は大きな粒が入っている。

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右手でつかんで入れているのであまり均一には入っていないかもしれない。

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大半は同じような大きさで植えている。

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5ミリ目で篩われた微塵混じりの小粒。

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これを2ミリ目で篩う。

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残った物を化粧土として使用。

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最終的に捨てる微塵はこれだけだ。
用土は湿っているので大きな粒に粉状の微塵は付着してしまい多くは篩われない。

Posted by woods at 2016年09月17日(土) 18時06分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2016年09月14日(水)

竹内山のダケ2 [寒蘭の勧め(旧)]

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右の画像は竹内山のダケだが、粘土が多い部分。


竹内は粘土質の多いダケだけを使っていた。

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自分は少ない部分も混合したので出来た土は茶色い。

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篩にかけて大中小に分けた。

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このダケを使って配合土を作った。

配合割合は前回とほぼ同じだ。前回から20Kg入れていたゼオライトを半分の10kgとしている。

Posted by woods at 2016年09月14日(水) 21時25分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2016年09月13日(火)

竹内山のダケ [寒蘭の勧め(旧)]

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今日は配合用のダケ土作りをした。

自家製ダケのストックが無くなったのでどうしようかと思っていたが、竹内が使っていたダケを思い出して先日西土佐まで採りに行っていた。

ここまで西土佐から運ぶのは大変だが、裏山を削って採るよりも採るのは楽だ。ただ、運ぶ時間とコストを考えるとどうかなだ。

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竹内のダケは椎山の法面が崩れた土砂だ。そのまま土嚢袋に詰めて取ってくれば良いが、山から軽トラまで運ぶのが大変だ。

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これを木槌で粉砕するのは裏のダケと同じだ。

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ここまで細かくするともはや寒蘭自生地の土だ。
寒蘭はこんな土の上に生えている。

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これを篩う。
エクスパンダメタル2枚重ね(1枚では粒が大きすぎる)の編み目で篩っている。

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これをこの後、大中小の3つに区分けする。

Posted by woods at 2016年09月13日(火) 17時51分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 4 )

2016年08月28日(日)

ズボ抜け [寒蘭の勧め(旧)]

高湿な熱帯夜が続くとどうしてもスボ抜けが発生する。

私の所ではここ1ヶ月で10鉢ほど発生した。

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スボ抜けは症状であって病気の名称ではない。
いろんな原因があるからで、スボ抜けを発生さす病気には腐敗病、軟腐病、炭そ病などがある。

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このスボ抜けは症状から見てフザリウムによる腐敗病ではない。
実際、フザリウム菌は見つからなかった。

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ではいったい何なのか?
答えはよく解らない。

顕微鏡で菌糸や胞子を探してみたが腐っているだけでほとんど見つからなかった。見つかったのは画像中央の菌糸だ。炭そ病の菌糸にも見えるが、リゾクトニア菌のようにも見える。

もしかしたら蘭菌もスボ抜けと関係あるかもしれない。


ただし、自分は症状から見て発生の初期は炭そ病に関係していると考えている。
そのため炭そ病に効く農薬を散布している。細菌で症状が進むのでバクテリアに効く農薬も使用。

Posted by woods at 2016年08月28日(日) 18時34分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 5 )

2016年08月24日(水)

今回の配合 [寒蘭の勧め(旧)]

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今日は久しぶりに土作りをしたが、少し配合を代えてみた。

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しばらくゼオライトを一袋(20kg)入れていたが、半分の10kgとした。
減した分、自家ダケの中粒及び少量を増やした。

右端がゼオライト

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自家ダケ大中小とゼオライトを混ぜた状態。

自家ダケは粘土分も多いので、ゼオライトで極端にCECを高めても意味ないかと思い出した。逆に肥料の効きの悪さは、これは潅水の多さも影響していると思うが、ゼオライトが多すぎるからではないか?

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サツマや鹿沼を混ぜた状態(最終)

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ストックしていた土砂が底を突いた。

Posted by woods at 2016年08月24日(水) 23時31分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2016年06月09日(木)

寄せ植えの効果 [寒蘭の勧め(旧)]

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寄せ植えについては以前に紹介したが、黄金葉では生育促進の効果が高いと思う。

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寄せ植えして2,3年もすると何年も作れなかった黄金葉がまともな生育になっている。

画像は直根付きの普通葉と黄金葉の小苗を植えていたもの。
特別なことはなく二株をくっつけて植えていた。

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黄金葉
根は比較的細いが大きな新芽が付いている。

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普通葉
大きな直根付いている。

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こちらは大株の普通葉に20センチ弱の3枚葉+2枚葉+2枚葉の3芽を一緒に植えていた。作落ちしていた株なので単独なら25センチくらいの3枚葉が出れば良いとこだったが、寄せ植えで37センチの4枚葉が出た。今年の新芽も大きい。

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こちらは前が出たら後ろ枯れるような株のバックを寄せ植えしていたが、昨年の芽が大きく育ち新芽も立派なのが付いた。
不思議なことに黄金葉の緑も濃くなっている。

これは蘭菌の不思議さだろう。

Posted by woods at 2016年06月09日(木) 22時58分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

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