2016年02月21日(日)
指標 [寒蘭の勧め(旧)]
寒蘭と土と言うテーマで書いてきたが、ずいぶんと難しいことを言うのかと思ったことだろう。それならどうしたら良いかというまとめ的な物ができていないが、化学性・物理性・生物性のそれぞれの指標的な物があれば寒蘭づくりがしやすくなるかもしれない。
寒蘭は良しも悪きも蘭菌とは切っても切れない仲にある。蘭菌はホルモンや親バルブから受け継がなくても蘭舎中に胞子がありそれが根に到達することで感染している。もちろん蘭菌が無くても育つ。
私は植え付け時にタチガレエース液剤を潅注しているが、以前は年に3回ほどしていたことがある。もう20年くらい前になるだろうか、すでに故人となったI氏にタチガレエースが「根に良い。」「腐りもなく白くなる。」「ただしやり過ぎたら芋が張りすぎる。」そんなことを聞いたと思うがそれでやり始めた。それまではダコニールを潅注していた。
詳しく聞くとI氏は2ヶ月に1回くらい潅注していた。根がきれいで葉姿も良く出来ていたので「自分ほど上手に作る者はいない。」と自慢をよくしていた。実際病気で枯らした株はほとんど無かったようだ。しかし花展示会でひな壇上段に上がったの見たことがなかった。
氏が亡くなってからのことだが、秋に競りがあり皆に氏の蘭が貰われていった。私も20鉢ほど競り落とした。この時点で氏の寒蘭は半年以上タチガレエース等農薬の潅注はされていなかった。身内の者が水だけやっていたが十分な管理は出来ていなかったようだ。
私の知り合いが4,5人いてこの時の蘭を何年か作っていたがすべての人が根が傷んで作れなかった。中にはずいぶんと枯らしたと言っていた人もある。私が一番欲しかった更紗無点の花があるが5,6芽の大株ですぐにでも展示会に使えると思っていた。これが1年ほどですべての根がきれいに無くなった。出た新芽も小さく未だに入れたときより小さな株だ。不思議だが元気なときに譲って貰った蘭は機嫌良く育っている。
ここで言いたいのは根の消毒はいったん行うと定期的に続けないと寒蘭は作り続けられないと言うことだ。蘭菌は消毒されてもペロトンから再生してくる。また他の病原菌より早く胞子の発芽で感染する。菌糸が伸び外皮や皮層細胞を貫通する。次の消毒までに菌糸が多数伸びるが消毒で菌糸がやられると貫通した穴が残ることになる。自然治癒をすると思うが、これらが繰り返されると外皮や皮層の細胞壁に多数の穴が空いてしまうことになる。病原菌や雑菌もここから簡単に入り込むことができる。そんなことにならないように病原菌や雑菌を消毒しないといけないので定期的な潅注が必要になる。
それとこんな人もいる。タチガレエースではなくジマンダイセンだったと思うが、これもしょっちゅう潅注している。たまにベンレートTもしていると思うが、根が白くて自慢だ。でも「またズボッた、また枯れたた!」と毎年何鉢も腐敗病で枯らしている。
蘭菌にダメージを与えると思わぬ病気にかかることになる。
農薬の潅注で生物性を上手くコントロールするのは難しい。それは蘭菌に思わぬところでしっぺ返しを食らうことになるからだ。
自分は年に3、4回の潅注なら上手くコントロールできると思っていたときもあったが、紹介したように払い越しや黄金葉、拗れた小苗等では従来の手法が通用しないことに気がついた。
これからは蘭菌をいかに活用するかで指標を考えてみたい。
Posted by woods at 2016年02月21日(日) 17時32分 トラックバック ( 0 ) コメント ( 2 )
コメント
農薬の潅注は必要最低限に止めるべきです。やらないで済むのがベストですね。
私は植え付け時の病害予防だけは仕方ないとずっと使っています。
こんばんは。
タチガレエースは2010年6月が最後で、現在まで殺菌剤の鉢内潅注はしていません。運が良いのか悪いのか、異常なしです。
植替え時は、鉢を大きくする時だけ新品か殺菌済みの鉢に植えます。それ以外は、植えてあった鉢をざっとタワシで水洗いして、根の整理後に元の鉢に戻しています。
蘭菌にも悪玉菌にもやさしいやり方かも。
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