2020年06月15日(月)
山苗の植え替え
2年前の7月に昨日の山苗と同じように植えていた鉢があったので、植え替えしてみた。
私は山苗も2年(24ヶ月前後)で植え替えしている。植え替えのタイミングはいろいろあると思うが、私は若干の前後はするが24ヶ月を目処にしてきた。夏場に採取した山苗の多くがこの時期からの植え替えになる。こんな暑い時に植え替えして良いかと幾度となく言われるが、私のキーワードは24ヶ月なので全く気にしていない。ただし、蘭舎に居られないくらい暑い時は朝晩の涼しい時に植え替えしている。
これらの苗も2年前は直根の1芽物だった。5号の駄鉢に7本植えていたが大小あるがよく育っていると思う。
7本は大きくなりすぎたので同じ鉢には植えられないので6号鉢に植えることにした。
ちなみに6号鉢の土は4.5号のプラ鉢2杯分の量になる。
サナが見えなくなる程度の土を置き、その上に苗を並べる。このときは苗の位置を2,3センチ深めにしておく。最終的に引っ張り上げて苗の傾きと高さをそろえる。
傾きを直しながら土を入れていく。
土は5mm目の篩で軽くふるった物を入れるが、できる限り土粒の周りに微塵が付着するように軽くふるっている。また、大小の粒の混ざり具合は下から上まで同じとしている。それにより水分や肥料分が鉢内に均等に行き渡る。
3、4回に分けて土を入れるがそのたびに少しづつ高さと傾きを調整する。
最後にふるいで落ちた細土を表面に載せる。化粧土の意味もあるが表面で軽く蓋をすると言う感じだ。それと捨てるのはもったいないのでここで使っている。
潅水は2回。
仕上げにタチガレエース液剤等の混合液の潅注。蘭菌をはじめとした根圏微生物にダメージを与えないようできるだけ軽く潅注。タチガレエースはピシウム菌、フザリウム菌(腐敗病には効かない)に効果があり蘭菌などリゾクトニア菌には効果が低い。また発根作用が認められるので植え替え時には唯一使用可能な農薬。
肥料は
植え替えして1〜2週間はやらない方が良い。蘭菌をはじめとする根圏微生物相(根圏微生物の活動範囲=根の表面5mm前後まで 寒蘭の場合根被も)が安定するまで待つ。自分は6月の置き肥が終わったこの時期は次の9月の置き肥まで肥料はしていない。
画像は根の断面1/4カット。
すでに既出で何度か説明しているが改めて・・・
寒蘭の根は特殊で根圏微生物相に根被部分が関わっていて微生物の住処となっている。根被は発根初期の先端部分は生きた組織であるが2,3センチから上で古くなったところは死滅していている。その組織は網目状になり内容物はなくスポンジ状態になる。乾くと空気が入り込み湿ると水がたまっている。この組織は先端の生きた状態の時から微生物の餌場になっていて、古くなったところも多くの微生物が住処としている。ここで最も大きい物では線虫類が見かけられる。量的には細菌や糸状菌が多い。根被の内側に外皮があるがこの組織で根圏微生物の侵入を食い止めている。ただし共生菌の蘭菌だけはその内側の皮層内部まで侵入しそこに定着する。また病原菌である炭そ病や腐敗病のフザリウム菌も何かの拍子にこれに侵入して根を傷め病気を起こさせる。根被の微生物は表面や土の方まで勢力を伸ばし繁茂している(植物が吸収できない土の肥料分も微生物は体内に取り込んでいる)。その活動の中で死滅した微生物が無機化し寒蘭の栄養源となっている。蘭菌はこれに上手く関わって寒蘭を助けている。
根圏微生物相が上手く維持できれば土が新しいとしばらくは寒蘭の栄養源は不足しない。肥料なしでよく育つ事になる。
Posted by woods at 2020年06月15日(月) 06時10分 トラックバック ( 0 ) コメント ( 0 )
トラックバック
トラックバックURL
http://www.tosaran.com/ablog5/tb.php?ID=1468